【書籍レビュー】生産性を上げろ!『日本はもはや「後進国」』
こんにちは、やまだゆうです。
今回は『日本はもはや「後進国」』という書籍についてレビューします。
今回紹介する書籍はこちら!
一言で感想をいうと「キャッチーなタイトルとは裏腹に今までの日本企業の至らなさを的確に指摘している」です。
この記事の内容
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生産性の計算式
本書では「生産性はたった3つの要素で決まる」としています。
生産性は、以下の計算式のように企業が生み出した付加価値を労働量で割ったものです。
付加価値 ÷ (社員数 × 労働時間)
何をもって付加価値とするかについては、何をベースにするかによって以下のように変わります。
- 企業会計ベース:会計上の売上総利益(粗利益)
- マクロ経済ベース:GDP
この計算式からわかるように生産性を上げるには①付加価値を高める・②社員を減らす・③労働時間を減らすことによって実現できます。
本書ではこの3つの観点からそれぞれ深ぼって課題を取り上げています。
信用することと生産性の関係
他人を信用できない日本人
本書では総務省が公表している2018年版情報通信白書の調査結果を引用しています。
引用した調査結果のうち、「SNSで知り合う人のほとんどは信用できる」と回答した人の割合を国際比較したものについて言及していました。結果は以下のとおりです。
- 米国:64.4%
- 英国:68.3%
- 日本:12.9%
3カ国での比較でしかありませんが、日本が突出して低い数値となっています。
信用できない相手との取引では多額の調査費用をかけたり、すべての案件で契約書を作成するといった作業が必要となります。
他人が信用できないと時間とコストを浪費してしまうわけです。
そういった作業を嫌って信用できる一部の企業とだけ取引を続けている、という選択もあります。
その場合、もっと好条件で取引できる相手がいたとしてもそれを排除するメカニズムが働くリスクも生じます。
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文字は読めても文章は読めない日本人
全体的な傾向として、日本人は英語が苦手です。
英語が苦手な理由として英語の能力が低いからだと言われていますが、アジア人がメチャクチャな英語のままで英語圏の人とビジネスをしていることから筆者は語学能力がメインの理由ではないと考えています。
筆者は論理的な思考回路が十分に身についていないことが原因ではないかと主張しています。
もっと言えば、文章をちゃんと読んで理解できていないということです。
文章を読めない事例:クソリプ
「今週は暑かったのでうちの会社はサンダル出勤もOKだった」
上記のXのつぶやきに対して次のような反応が一定数返ってくるという話があります。
- 「なぜ今週だけはOKなんだ」
- 「サンダルない人は来るなって?」
- 「暑いならともかく基本はNGだろ」
こんな短い文章の投稿に対して意味を全然理解していない反応が返って来たのです。
これは極端な例ですが、こうした読解力の低さがビジネスでのメールやチャットでの余計なやりとりにつながり、生産性を大きく引き下げている可能性があります。
ちきりんさんの『じぶんのアタマで考えよう』で指摘されていた「意見ではなく反応をしている」という話を思い出しました。
なぜ日本でテレワークが進まないのか?
日本の雇用関係では任されている職務内容があいまいで、口頭や表情などオフラインでのコミュニケーションでそのあいまいさを補完しています。
テレワークでは文章でのコミュニケーションが主体となってくるので、前章で取り上げたように「文章をちゃんと読んで理解できていない」人ばかりの組織ではテレワーク導入のハードルが高くなります。
英語の文章の方が理解しやすい?
筆者が日米の経済統計をWebサイトで閲覧していると、英語で書かれているにも関わらず米国のサイトの方が直感的に理解しやすいそうです。
日本のサイトは、データに関する大量の注記事項が羅列されていて情報が全く整理されていません。
さまざまな立場の人が読むことを想定できておらず専門的な内容をわかりにくいまま伝えてしまっているのです。
筆者は以下のように痛烈な指摘をしています。
現代社会はオープン化が進んでおり、異なる分野の知見をうまくミックスしていかなければ新しいビジネス領域を開拓することはできません。専門的な内容を専門外の人に適切に説明する能力に欠ける人はむしろ専門家としての能力が不足していると評価するぐらいの意識改革が必要だと筆者は考えます。
日本でテレワークが進まない理由 – 『日本はもはや「後進国」』
ITエンジニアという職種柄英語で書かれた記事をよく読むのですが、確かに意味がスッと入ってくると実感することが多いです。
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設備投資を怠る日本企業
日本企業は過去10年売上高が伸びていないのに、従業員の数は増えていて利益を圧迫する事態になっています。
なぜそのような事態になっているかというと、短期的な目線で経営をしているからだと著者は指摘します。
設備投資は5年先・10年先を見据えた長期的な投資になるので、短期的な目線での経営をしていると優先されにくいのです。
新規事業が必要になると、場当たり的に人を採用していくので従業員の数がどんどん膨れ上がっています。
最初に紹介した計算式の分母(社員数 × 労働時間)ばかりが増えて生産性が低下しまうことになります。
個人的にも今所属している会社に対して、戦略が整っていないのに人ばかり増やしているなぁと感じています。
個人でできるアクションプラン
最後に、本書で読んだぼくが考えたアクションプランをお伝えします。
- 初めての相手とは小さな取引をしてみる
- 積極的に転職する
- 人を増やさなくても済むような仕組みを提案する
- わかりやすい文章を書く
初めての相手とは小さな取引をしてみる
人を信用する練習としてメルカリで売買してみましょう。
購入するときは高価なものではなく、万が一イマイチな取引になったとしてもダメージが小さくなるように数千円程度の商品から購入してみるのはどうでしょうか?
もちろん販売するときは高価なものを出品して大丈夫です。
よい取引ができたという小さな成功体験を積み上げると他人を信用できるようになってくると思います。少なくとも人を疑う気持ちが今より薄れてくるはずです。
積極的に転職する
より生産性の高い企業を目指して積極的に転職しましょう。
全体的な傾向として日本企業が生産性が低い理由は、人の流動性が低く同じ人間関係でのなれ合いに依存しているからです。
もっと多くの人が転職するようになれば、なれ合いに依存した仕組みを変える必要が生じます。
それで企業の生産性が高くなればよし、ついていけない企業は淘汰されて生産性の高い企業が残るようになります。
人を増やさなくても済むような仕組みを提案する
人が減ったときこそチャンスと思いましょう。
安易に人を増やすことに頼らず、人手不足を仕組みで解決する仕組みを上司に提案しましょう。
例えば次のような観点で考えてみるのはどうでしょうか?
- 外部サービスの導入(人を雇うよりサービス料を払うほうが安いかも)
- 仕事そのものをなくす
「仕事そのものをなくす」については以前投稿したこちらの記事が参考になると思います。
なぜあなたの残業は減らないのか:4つの提案 | yamaday0u Blog
わかりやすい文章を書く
わかりやすい文章を書くよう心がけましょう。個人的にはやはりブログを書くのがオススメです!
「ブログはめんどう…」という方は仕事上でのメールやチャットのやり取りでわかりやすい文章を書くチャレンジをしましょう。
わかりやすい文章を書くコツ
4年以上ブログを書き続けたぼくの経験からいうと、わかりやすい文章を書くコツは次のとおりです。
- 主語を明確にする(誰が・何が)
- 文章1つ当たりの長さを短くする
- 1つの文の中の主語と動詞の関係を適切にする
- 質問に対して端的に答える
- 書いた文章を声に出して一通り読む(意味がわかるか確認する)
以上、アクションプランの提案でした!
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